久しぶりに南吹田琥珀街の長屋区画の募集です。
久しぶりなので、少し言葉を足そうと思い、この文章を書いています。
以前の募集から、どれくらい経ったのだろう。
今回、退去したのは二期から入居してくれていた二人で、6年ほどの付き合いになる。
6年前、最初は若い二人が店を構えると言うので、家主さんを含め、みんなで心配したものだった。
まだ、南吹田琥珀街内でリノベーション済みの建物も多くなく、入居者も少なかった時期だ。
ホントに大丈夫?が率直な気持ちだった。
その後、僕らの心配もどこ吹く風で、彼らは着実に一人一人ファンを増やして、なんと2年前には南吹田琥珀街にある白ゆり荘にもう一区画を借りてくれた。驚いた。うまく行っているとは思っていたが、彼らの成長は僕らの想像を遙かに超えていた。
上から目線では決してないけど、ぐんぐん成長していく彼らを近くで見せてもらった。
彼らは常に必死だった。自分たちで自分たちの居場所を守らないといけないし、自分たちで世の中での自分たちの価値を生み出し続けなければいけない。その気持ちは時に街とのすれ違いを産んだり、した事もあった。いろんな事があった。
だが、この数年、彼らの紹介や彼らの店を訪ねた人やファンが琥珀街に入居してくれるというケースが増えた。
こういう人が、こういう店が入居されている街に入居したいと。
はたして、それ以上の価値ってあるのだろうか?
得てして、こういうまちやコミュニティーには、いろんな貢献の形があると思う。
結果として、彼らは多くのモノを産み、この街に多くのコトをもたらしてくれた。
彼らが退去してしまうのは寂しい。ホントに寂しいし、悲しいと思っていた。
退去の際に大家さんと設計士さんと退去の立ち会いをさせてもらった。
何もない部屋の中で話していると、退去する二人がぼそっと言った。
正確な言葉は忘れてしまったんだけど、「なんか、この感じ懐かしい。入居の案内をしてもらっている時の事を思い出した」って。
僕はその時に思ったんだな。
輪廻転生だなって。
こうやって、二人が必死で生きた、二人の生命の営みを積み重ねてくれた建物に、僕はまた新しい誰かを案内するのだなって。そして、新しく入居してくれた人たちがここで必死に生きる。
続いていくってこういう事だ。続けていくってこういう事だ。
いろんな人の生命の営みが重なりあって、入居してくれた人たちの必死で生きた轍がまちになっていくのだ。
そりゃ、ずっといて欲しい。ずっといてもらえたらうれしい。
でも、それって、まち側のエゴだ。彼らは彼らの人生がある。
そこで寂しい寂しいって言って、応援できないのは違うと思うわけだ。
彼は近くで店をやる事になると思う。またまた僕らの思うより、きっと遙かに大活躍するのだと思う。
だから寂しいとかじゃない。達者でな!ありがとうな!また!なのだ。
この街が彼らの最初の一歩を踏み出した場所であれてうれしい。
ありがとう。
長くなるので、この辺で。
※※ここからは南吹田琥珀街が始まる時に書いた物件紹介文です。※※
舞台は、大阪府吹田市南吹田にある、とある街。
過去のような未来のような、時空を超えて出現したかのような街。
そこで何かが起きているらしい。
そこに新たな何かが産声をあげたらしい。
ひとつの新しい時代のような。
ひとつのささやかな灯りのような。
古い長屋やアパートをリノベーションして、まちに安心感や落ち着きをもたらし、そこで暮らす人々の想いを大切にしながら、ぬくもりや懐かしさを補完するというプロジェクト。
大事にしたかったのは、「現代では見ることが少なくなった、人の生活が垣間見える美しい景色を大切にし、ハード(まちの景色)はできるだけ変えずに、ソフト(使う人、使い方)を変えるコトにより、まちを次の時代へ生き繋げたい。」
言い方を変えると、このまちに初めて訪れた人がここの景色や建物を見て、過去のようなまちだなと思っていて、建物の中に入って使い方を見たり、そこにいる人たちと話してみたら、どうやら、ここは未来のまちの姿なんじゃねえか?って気づかされるようなまち。
ただし、具体的に、どういう場所になるのか、ゴールは示してくれない。
見え透いた未来なんていらないし、誰かの敷いたレールなんていらないでしょ?
誰かが作った、誰かに作られた場所ではなく、「地面から雑草のように生えてきた生命力溢れるまち」
だから今、選ばれしプロジェクトメンバーたちは土壌を耕している。
これから、このまちに新しい未来が芽吹くような土壌を。
高度経済成長期からバブルという時代を経て、そして、リーマンショックを経験しても、まだまだ、惰性で回り続ける世界では、自分たちの思う生き方や暮らし方、働き方がしにくく、それらを疑問に思い、模索している人は増えている。
もう、みんなの頭の中の未来のイメージを書き換えなきゃいけない。
僕らが幼き頃に、大人の人たちから教えられてきた夢の21世紀は来ない。
僕たちは自力で、今ある現実に合わせた生き方を見つけなければいけない。
僕たちは僕たちの手で、新たな未来を切り開いていかなければいけない。
そういう人たちが集まる場所、そういう人たちが新しく始められる場所。
このまちの多くの建物は、幾多の時代の大きな変遷の中にあっても、変わらず、ここにあり続けてきた。
琥珀のように永い年月をかけて醸成されてきたまちの景色を紡ぎながら、これから、僕たちが少し新しい景色を重ねさせてもらう。
琥珀色の照明と共に。
まちづくり?まちはつくるものじゃないと思うんです。
きっと、そこにいる人たちの生命の営みの積み重ねで、まちはできていくものなんだと思う。
今までも、そして、これからも。
※まち全体の様子や詳細は、南吹田琥珀街の公式ウェブサイトへ→ウェブサイト (昼と夜でトップ画面が変わります。)
38-n1の詳細→物件ページ
※今までの経緯や込めた想いに興味をお持ちいただいた方は、Case Studyをご覧くださいませ。
南吹田まちリノベーションプロジェクト#1
南吹田まちリノベーションプロジェクト#2
南吹田まちリノベーションプロジェクト#4
南吹田まちリノベーションプロジェクト#5
南吹田まちリノベーションプロジェクト#6
南吹田まちリノベーションプロジェクト#7
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・設計 株式会社 一級建築士事務所 設計組織DNA
・施工 株式会社山佑建設
・アートディレクション 白子侑季
・照明監修 Design Office luminosity
・企画、仲介、管理 株式会社川端組






















